個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、月払いの他に年払いを選択できます。
拠出時の手数料を年1133円節約できると話題ですが、本当に得なのでしょうか?
年払いにした際のデメリットを金額換算して、いくらぐらいになるか確認してみました。
iDeCoの年払いの仕組みとメリット
年払いは後払いのみ
iDeCoの基本は月払いで、月ごとに拠出(投資)できる上限額が決まっています。
毎月同じ額は拠出しにくい人のために今年からボーナス月などのまとめて払いも出来ます。
月ごとの上限額(枠)が決まっていて、まとめて拠出する際もその年の拠出月までの枠の合計額分までしか拠出できません。年初に1年分を上限まで払っておくというのはできず、1回払いで上限まで拠出するには年末に1年分を払うかたちです。その月の上限額までなら年2回の指定したボーナス月に払う(7月に1~7月分、12月に8~12月分など)とか、偶数月のみ払うとかもできます。
年払いの一番のメリットは手数料削減
iDeCoは拠出時に国民年金基金連合会への手数料(103円)がかかり、拠出する月は多くの金融機関で手数料が103円高くなります。すなわち月払いで1年間に12回拠出するより、年払いで1回にした方が年間で1133円(103円×11)も手数料が安くなります。30年間なら33,990円です。
デメリットは12月に1度の拠出だと確定申告が必要になることです。
年末調整で楽したいなら8月(引落が9月)までに1度でも拠出すればOKのようです。年末調整用の証明書が10月頃に送付されます。8月と12月の年2回拠出でもよいですし、8月の1回(8か月分の上限額まで拠出可能)でもよいです。
なお、支払い月の変更は書類での申請が必要でけっこう面倒で時間がかかります。
年払いにするデメリットと金額的な評価
ドルコスト平均法による効果
価格が上下する商品は時間的に分散して購入(ドルコスト平均法)した方がよいと言われます。
ドルコスト平均法による効果がどの程度かエクセルで計算してみました。
月に2.3万円拠出する一番左の例だと手数料込みで18円ですが月払いの方が有利です。この例よりも価格の上下が激しければ月払いが有利となり、上下が少なければ年払いが有利となります。値動きが激しい商品なら月払いが有利になるでしょう。
上昇機会の損失
年払いだと後払いとなります。そのため、拠出するまでの値上がり益を得られないこととなります。
上の表の中央の例だと年間2%の上昇で、月払いの方が1370円有利となります。なお、上昇が1%で月払いが121円有利に、上昇が0%で年払いが1133円(手数料削減分)有利になります。
二つの効果を合わせると右の表のような結果となり、2463円、月払いが有利となります。
実際のデータでの確認
過去のデータから実際の商品に投資した場合の結果を表に示しました。
1993年から2017年の25年間のある日経225インデックスファンドだと、13勝12敗で平均2,954円とわずかに月払いにしたほうが有利でした。

今はコストが安い商品が多いので、この例よりも月払いが有利かな。
表の右の方にあるNASDAQの商品だと、過去21年間で15勝6敗で平均6,265円、月払いが有利でした。
リスクの増加と季節要因
私は一番のデメリットがリスクの増加と考えています。
毎月投資と年1回投資では年1回投資のほうがリスク(ばらつき)が大きくなります。そのうち計算した例を記事にしたいですが、年率換算で2倍ほどの差となります。長期運用なのでリスクの差は少なくなりますが、一生に一度の老後資金の運用にはリスクが低い方がよいかと。
また、投資商品によっては月によっての傾向があります。例えば12月には上がりやすい(高く買わされる)商品だと12月の年払いは不利になります。なお、月の傾向も絶対ではないので、投資対象が下がりそうな月に年払いにするのもリスクにあったリターンではなくおすすめはしないです。

年末株高アノマリーって言って、年末は株が上がりやすいとも言われますね。
年払いにした方がよい投資先
iDeCoでは多くの人が定期預金を選択していますが、iDeCoの定期預金と年末まで預ける普通預金の金利差が1%未満なら金銭的には年払いがよいです。

今は定期預金が1%をはるかに下回っているので、定期預金なら年払いの方が得ですね。
国内債券ファンドも1%は期待できない状況ですし、値動きが大きくないのでドルコスト平均法の効果やリスク低減の効果も低いです。よって、国内債券ファンドで投資する方も年払いの方が得と思います。ただ、今の状況で国内債券ファンドはおすすめせず、個人向け国債の方がよいと思いますが。
月の投資額が5000円ぐらいと少なく、国内債券の比率が高いバランスファンドに投資する人も年払いがよいかも。まぁ、多くても年1000円ぐらいの差なんで拠出しやすく管理しやすい方でよいと思います。
なお、私はiDeCoは長期積立なのでリスクのある商品でインフレにも対応できる運用が良いと思います。税優遇があるので特定口座などで運用するぐらいならiDeCoで運用した方がよいです。積立NISAのリスク商品+iDeCoの定期預金だったら、iDeCoのリスク商品+定期預金の方が流動性があってよいです。
おわりに
上の表のエクセルファイルはこちらからダウンロードできます。拠出額によっても変わるのでいろいろと計算してみてください。
ちなみに、年払いのデメリット解消に、年末まで特定口座で運用するという手もありますが、利益に課税されるし面倒すぎ。

楽天カードで楽天証券に積立して1%を得て、年末にiDeCoっていうのが面倒じゃなければいいかも。私は面倒かな。
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