老後資金に○千万円必要とか言う計算には何年生きるかという想定がほぼ入っています。でも、それ以上生きたらって不安になりますよね。元気なうちに資産がだんだん減るのも苦痛です。
そこで、今回紹介の年金活用計算法を用いれば、多くのパターンで生存年齢を気にせず必要な老後資金が計算できます。
年金活用計算法による必要な老後資金の計算
国民年金と厚生年金の繰下げ受給の制度を利用して、老後の生活費を確保します。
年金繰り下げによる生活費確保の主なメリット
◎何歳まで生きても生活費を確保できる。
○物価上昇に(少しだけは)対応してくれる。年金はインフレ率を考慮します。マクロ経済スライドあるけど。
○82歳以上生きる想定なら必要な老後資金が少なくなる。

女性の95歳の生存割合は1995年に11.9%、2005年に20.8%、2015年に24.9%と急上昇中!あなたが100歳になる頃には人生100年での計算も甘いかも?
年金繰り下げによる生活費確保の主なデメリット
×所得税が増える場合も。繰り下げで年金額が増え、控除額を超えると税金かかる
×加給年金、付加年金がもらえない期間が。障害年金もらってると場合により繰り下げの対象外。
×早死は遺族に残る額は少な目に。年金分は長生きしても本人が生活費として使えば遺族に残らないけどね。
△老後資金の運用期間が短くなる。繰り下げしている間に老後資金を使っちゃうので。
メリットの方が大きいですが、ここで必要な老後資金の概算を把握し、老後が近づいたら繰り下げを再検討してもよいかと。
老後の生活費と年金額のみで必要な老後資金を計算
計算は次のエクセルシートを使えば簡単です。老後に希望する年間生活費と将来受け取る予定の公的年金額を入力すれば、必要な老後資金が計算できます。厳密には夫婦で年金の開始年が違うでしょうし、税金もあるので概算とはなります。
たとえば、老後に必要な生活費が年324万円(月27万円)で、年金予想額が年240万円の表のケースだと、年金開始の65歳時点で1350万円必要なのが分かります。具体的には4年2ヶ月年金の繰下げをすると年金が年324万円となり、繰り下げている4年2ヶ月に1350万円かかるってことです。
繰下げしないで1350万円を生活費の足しに年84(324-240)万円引き落としていったら、16年1ヶ月(81歳)で使い切ります。
また、表の右の方には60歳の定年時点にいくら必要か計算する欄を作っています。定年後は65歳まで働き年100万円の収入があれば、60歳時点で2470万円が必要なのが分かります。退職金や企業年金が期待できない人は早めの準備が必要ですね。
年金活用計算法による老後に使える生活費を計算
上とは逆に現時点で貯められそうな老後資金(貯めた老後資金)から老後に使える生活費を計算することもできます。こちらも年金の繰り下げを活用します。なお、定年後の年金開始前に資金が足りない場合の年金繰り上げも計算することができます。
老後資金と年金額のみで老後生活費を計算
こちらの計算もここで紹介するエクセルシートを使えば簡単です。老後資金と将来受け取る予定の公的年金額を入力すれば、老後に使える生活費が計算できます。こちらも概算とはなります。
たとえば、65歳時点の老後資金が1000万円で、年金予想額が年240万円の表のケースだと、老後の生活費として年305万円(月25.4万円)を使えることが分かります。具体的には3年3ヶ月年金の繰下げをして年305万円となり、繰り下げている3年3ヶ月に約993万円かかるってことです。
また、表の右の方には60歳の定年時点の資産で老後の生活費を計算する欄を作っています。60歳の定年時点で2000万円の老後資金があり、定年後の65歳まで年100万円の収入があれば、老後に年304万円(月25.3万円)を使えると分かります。

年金繰下げ年数の計算式は二次式の解で、一方の解をエクセルに表示しています。解なしのケースやもう一方の解が当てはまるなどおかしいケースがあればお教えください。
おわりに
上の表のエクセルファイルはこちらからダウンロードできます。条件を変えていろいろと計算してみてください。計算式の間違いなど不具合があればコメントなどで教えて頂けると助かります。もちろん、計算不具合に起因する不利益、年金の制度改正による資金不足などの責任は一切負いません。
夫婦のどちらかが亡くなった後も考えるべきですが、そちらはまたいつか機会があれば。

生活費の他に予備費(想定以上の修繕費とか医療費とか)が必要です。ここでの老後資金+予備費の確保を。
コメント
ダウンロードしたファイルに「将来」という関係ないシートが混ざってましたよ。
エクセルとしてダウンロードできるのはありがたいですが、ダウンロードの仕方が分かりにくかった。
コメントありがとうございます!当ブログ初コメントです!
「将来」シートは、将来の年金受取額を設定する上で、受取時にどのぐらい年金が減額されるか予想するヒントになればと思ってつけました。
年金定期便だと現在のベースですが、将来は減額が確実ですからね。受け取り開始年齢も上がるでしょうし。