最近よく聞くソーシャルレンディングは本当にお得なお金の運用方法なのでしょうか。
ソーシャルレンディングのそれぞれのリスクに応じた利回りを確認してみます。
ソーシャルレンディングについて
なぜソーシャルレンディングができたの?
企業がお金を借りたい場合、銀行から借りるのが一般的です。
もっと条件よく借りるために、直接貸す人から借りる方法として社債があります。
他には会社に出資してもらう株という仕組みもあります。
ファンドとして事業に出資してもらう仕組みもあります。
これらは歴史もあり制度もしっかりしています。(ファンドはいろいろだけど。)
制度がしっかりしていると、借りる手続きが面倒だったり、借りる金利が高くなります。
そこで、気軽に個人からお金を借りるためソーシャルレンディングができたようです。
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他のお金の貸し方との比較
お金を貸し借りする他の商品との比較を次表にまとめます。
ソーシャルレンディング | 債券(社債) | 債券(国債) | 銀行預金 | |
---|---|---|---|---|
借りる人 | 会社等 | 会社 | 国 | 国(国債)、会社、個人(住宅ローン等) |
貸すところ | 引受会社 | 金融会社 | 金融会社 | 銀行 |
担保 | 案件によるが詳細不明も | 企業 | 国 | 銀行(順位低い) |
保証 | 案件による | 物件による | 国により民間の保証制度もある。 | 預金保険制度 |
貸す金利 | 高い | 高め(企業の格付けによる) | 低め | 低い |
流動性 | ほぼない | 高め | 高い | 高い |
不履行のリスク | 貸す会社 中間業者 案件など | 企業 | 国 | 銀行 |
その他 | 期限前償還のリスクなど個別にあり | 仕組み債など要注意のものもある | 個人向けの有利な商品もあり | 元本割れのリスクがほぼない |
上表のほか、ソーシャルレンディングは個別の案件によりリスクがある場合があります。また、担保などの詳細が把握できないようになっているものが多いようです。

偉そうに書いていますが私はソーシャルレンディングをしていないので、詳しくは検索して調べてください。
ソーシャルレンディングのリスクとリスクに応じた金利
引受会社の倒産リスク
株や債券は販売会社の倒産リスクがほぼないです。販売会社が倒産しても、債券が個人に戻るので別の会社に引き継げるからです。
それに対してソーシャルレンディングは、販売会社(引受会社)の倒産リスクがあります。
したがって、販売会社のリスク分は利子が高く設定されているべきと考えています。
例えば、貸出先の案件に5%の利子をつけて貸してもいいと思い、その案件を取り扱っているソーシャルレンディングの会社のリスクが2%なら、合わせて7%は利子が欲しいです。
安心できそうな会社だから気にしないって人もいるかもしれませんが、ソフトバンクの既発債でも1%ぐらいの利回りとなっています。
ソーシャルレンディングの会社の社債を発行したらどの程度になるか考えてみましょう。
一番安心できそうなのは、SBIソーシャルレンディングかな?それでも格付けBBB+のSBIホールディングスから外れたのがちょっと気になる。
ちなみに案件の担保があったとしても、担保の権利は引受会社にあって、購入者には督促等を含め権利がないようです。つまり、引受会社のリスクは減らない、社債の利率ぐらいは上乗せされるべきでしょう。
案件のローンのリスク
利回りで一番メインなのは、案件ごとのリスクでしょう。これをベースに金利が決まってます。
案件によっては中間業者を挟んでいることもあり、中間業者・最終業者の貸倒リスクに加え、ノンリコースローンなら担保案件のリスクもあります。これらを全て加えます。
ノンリコースローンとは、金を借りた業者(人)が担保物件までしか支払い義務がないローンです。担保の価値が急減したら、担保を差し出してお金を返さなくてもよいローンです。貸した方にはリスクがあるので、ノンリコースローンはリスクの分、利子が高くなります。
中間業者・最終業者・担保案件のリスクを全て加えますが、担保や保証の支払先が引受会社ならそれらのリスクが軽減されます。どこかでダメになっても担保の権利を主張できるので。
ただし、充分そうな担保があっても、回収コストを含めた回収率が90%で、遅延したことによる損害(1年遅れで現金化なら1年分の金利)が10%だとすると、満期日換算で80%ほどの回収率となる。で、業者や案件などがダメになるリスクが10%なら、安全運用の利率より2%(半年の案件なら利回りが+4%)は上乗せして欲しいです。
本来なら案件ごとに妥当な利率なのかチェックすべきですが、ほぼ不明です。
引受会社の設定に任せるしかありません。ちなみに、引受会社は1~数%のマージンをとって貸出金利を設定しています。
m社のある不動産ローンだと満期後に追加案件募集(現金化できず返せなくてまた借りた?)で金利がかなり上がっていて、リスクが増えていそうだけど詳細が不明です。
高すぎるマージンも問題ですが、それ以上に引受会社の利周り設定の能力が大事です。
利周りが高すぎたら借りる人は別から借りるだろうし、利周りが安くても引受会社はあまり損しません。引受会社にリスクの見落しがないか評価できる人がいないと危険です。
早期償還によるリスク
借り手が早期に返還する権利を有していることが多いようです。
あまり気にしない人が多そうですが、この条件は借り手が有利な条件です。
債券でこのような条件付きならば金利が上がります。
例えば、通常金利が5%で、他で借りる金利が3%になった時に早期償還できるなら、金利3%になる確率が20%ぐらいなら5.5%で借りてもいいとなります。(いつなったらとかいろいろ条件によって変わるけど。)つまり、この場合は0.5%は上乗せされるべきです。
流動性がないことのリスク
ソーシャルレンディングは社債などと違って、途中で換金することができません。
換金不能ということに対するプレミアム(上乗せ金利)は思った以上に大きいです。
例えば、未公開株式だと30日以内にIPO等で換金できる場合も25%割安になるそうです。
60日以内なら38%、90日以内なら43%、120日以内なら50%です。
もちろん、これは公開しなくなるリスクが大きいですが、換金できないリスクもあります。
(倒産等リスクは公開前後で変わらない。公開による上昇は期間により変わらない。)
個人向け国債は換金しやすいことが売りです。銀行預金も換金性が高いのがメリットです。
余裕資金だから問題ないという人も、他が同じ条件なら(元本割れしても)途中換金できる商品を選ぶでしょう。じゃぁ、利率がいくら上乗せなら中途換金できない商品を選ぶかってことです。
自分が使うだけではなく、引受会社の悪いニュースが続き不安になったとか、同様な案件で不渡りがでたとかで、損しても今のうちに少しは回収しときたいってときもあります。
保険商品とかで換金できないリスクがあるのに、気にしない人は多いですよね。
その他のデメリット
利益は雑所得となります。源泉徴収されていても、確定申告で追加で支払う可能性があります。
他の収入が多い人は、株や債券、ファンドなどに比べて不利となります。損益通算等の面でも。
応募してから運用開始までの期間が長いと、待機期間に利子がつかないデメリットもあります。
6ヵ月の案件で2週間も待機すると1割弱の損です。半年で年利回り5%なら、半年と2週間の年利回りが4.64%です。
投資先が不明ということで、分散投資できにくいリスクもあります。
別の案件で業者と投資対象が同じ場合は注意すれば分かりそうですが、別の中間業者を挟んでいたり、返済原資として考えていた販売先が同じだったりしても分かりません。

デメリットに応じた金利になっているかってことですね。
おわりに
週に1回ぐらいは投稿しようとブログを始めましたが、なかなか記事を書くの大変です。。。
実は、私は20年ほど前の若かった頃に和牛商法に投資したことがあります。運よく当初予定通りの金利と元本を回収でき撤退できましたが、その会社もその後に返済できなくなり破綻してます。
ソーシャルレンディングでもいくつかの問題がでていて、業務停止命令も出ているようです。
私はソーシャルレンディングを今はするつもりがありませんが、もし検討している人がいたら、まともな会社を選ぶのが一番重要だと言っておきたいです。もし、まともな会社だとリスクの割に金利が良くないと思ったら、諦めるべきです。金利が高い業者にだまされませんように。
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