エクセルでアセットアロケーションの効率フロンティアを求める

効率フロンティア曲線 投資配分

アセットアロケーション(資産配分)の効率曲線(エフィシエントフロンティア)って聞いたことがありますか?GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)でも使用されている資産をどの程度の割合で配分すると効率的か計算する方法です。
計算式自体は難しくないのでエクセルを使えば簡単に求まります。自分の資産配分を計算して効率的に分散しているか買い足すとしたらどの資産クラスがよいか確認するのも楽しいですよ。

効率フロンティア曲線って?

分散投資の効果

「たまごを一つのカゴに盛るな」ってのが分散投資を勧める宣伝によく使われています。
たまごが全て割れないように=破たんするリスクを減らそうってことです。
デフォルトによる影響を少なくしようってのが、分散投資の1つの目的です。

それとは別に分散投資してリスクを減らすことができます。
Aは平均的に年間5%増えて、Bは平均的に年間3%増える。
両方を半分ずつ持てば平均的に+4%です。これだけ見れば、Aだけを持つ方がお得です。

例えば、この2つが値動きが逆(Aが上がれば、Bが下がる)という資産だったとします。
ここで、Aは5%±10%、Bは3%±6%だとします。

資産配分平均リターンAあがるBあがるリスク
A100%+5%+15%-5%±10%
B100%+3%- 3%+9%± 6%
A50%,B50%+4%+ 6%+2%± 2%

上表に示すようにAとBを半分ずつ持てばリターンがマイナスにならなくなり、リスクが大幅に改善されます。
これは極端な例ですが、値動きが異なる資産に分散するとリスクが減ります

やる人いないと思いますが、ベアファンドを組み合わせるのはダメですよ。平均リターンマイナスになり、低リスク(=ほぼ確実)に損することになります。

複合資産のリスクの計算

実際の資産クラスに合わせて、複合資産のリスクがどの程度になるか計算することができます。
詳しい計算式が気になる人は別で調べて、エクセルファイルで確認してください。私が間違えてなければ、文献の式を展開したり形を変えればエクセルの式になるはずです。

必要なデータは、「資産間の相関係数」「資産ごとのリターン」「資産ごとのリスク」です。
これに、「資産ごとの保有割合」を与えると、複合資産のリスクとリターンが計算できます

なお、将来の値動きを知るためデータは将来の想定値を入れるべきです。

相関係数は計算上-1~1の値です。値動きが同じだと相関係数1で合成してもリスクは減りません。
相関係数が低いほど合成リスクが減ることになります。相関係数が1より大きくなることはないので、複数資産を持つことで単純平均のリスクよりもリスクが増えることはありません。

値動きが違う複数の投資先に分散するとリスクが減る!これだけ覚えておけばよく、ここより下を見て計算までするのは好きな人だけでよい。

効率フロンティア曲線

複数の資産を組み合わせたリスクとリターンは、組み合わせる割合でいくつかの数値がでます。
その組合せの中で、同じリスクの中で最もリターンが高い組合せの割合、別の見方をすれば、同じリターンの中で最もリスクが少なくなる組合せの割合効率的な資産割合となります。
基本的にリターンが増えるほど、リスクが増えます。リスクとリターンをグラフに書いたときに、それぞれのリターンごとに最も低リスクな組合の点を繋いだ曲線が効率フロンティア曲線と言われています。

実際の図を見た方が分かりやすいかと思いますので、次の実例を参考にしてみてください。

エクセルを用いた計算例

必要データの設定例

「資産間の相関係数」「資産ごとのリターン」「資産ごとのリスク」が必要です。
過去のデータから計算すれば求まりますが、それは集計した期間の過去の結果です。
例えばリターンで長すぎる期間をとれば、高度成長期のインフレも加味されてしまいます。

そこで、将来の想定数値を設定するのですが、設定数値によって結果がかなり変わります。
効率的な資産割合が求まるならもっと使われてもいいのですが、設定する難点があります。

エクセルファイル作って公開しましたが、私はあまり結果を信頼していません。おもしろそうだからちょっと計算してみよってぐらいに使ってください。

設定例として公開するエクセルファイルに数値を入れています。
この数値は基本的にJ.P.モルガンの超長期マーケット予測の2019年版を用いています。
10年から15年という長期間に及ぶ各資産、戦略のリターンとリスクの分析結果およびその前提となる数値」だそうです。
ただ、2018年9月末時点と株価が下がる前のデータだし、独断と偏見で数値をいじってます。

よく使われているデータは、GPIFのデータだと思いますが、こちらも毎年更新されます。相関係数のデータが毎年かなり変わってますが、そんなもんなんでしょう。細かい数値を気にするほどの精度は求めても無駄ってことです。
GPIFのは、ベースの上昇率が高すぎな気がして、ここではあまり参考にしていません。
国家公務員共済組合連合会とかでも資産運用の際に設定している数値を公表しています。
なお、過去の各資産区分間の相関係数は時系列データから計算できますが、三菱UFJ国際投信のホームページなどにもあります。

(数値をいじったところの参考)

  • 先進国株リターンは4%だったが、昨年予測は4.5%で2018年9月末時点だと株価上がりすぎってのを踏まえた予想っぽいし、GPIFの外国株は7%超なので5.2%に。日本株もGPIFを参考に5.0~5.5%を4.8%に下げ、新興国は6.75%から5%に下げた。新興国は想定以上に先進国に利益を吸い上げられて発展ほどに地元企業の株価が上がらないという私の考えを反映。
  • 日本債券はGPIFを参考にリスクを2%から3%にあげた。GPIFは低め予測の市場基準ケースでもリターン1%。これでも、2%→1.5%→1.2%と年々予測値を下げてる。リターンはJPモルガンの0.75%のまま。0.75%にしてはリスク高めの設定かも。
  • 先進国国債のリターンは1.25%だったが、米債券の予想が2.25%だし、国債以外もあるので2%に。
  • 新興国国債のリターンが4.5%で社債が4.25%だったが、為替減もっとある?と3%に。
  • リート(REIT)は米とグローバルという区分しかなく、適当に設定。今は国内リート強いけど、長期では厳しいと思うので低めに。新興国リートは買えるファンドの構成国が南アとか偏ってるのでリスク高めに。
  • コモディティのリターンは2018年予想2%から2019年予想0.5%になっていた。2018.9以降に原油が下がり、今の時点ということで1%にした。
  • 現金は、日本短期金利を参考に0.25%±0.20%とした。
  • 数値は全て円ベース。為替ヘッジなしのデータでリスクにも相関係数にも為替の影響が入っています。

設定例における各種パターンの計算例と効率フロンティア曲線

上記条件で、各種資産を10%刻みで変更した場合のリスクとリターンの計算結果が下図です。
11資産を10%刻みの組合せで約18万データです。全通り漏れなく計算したつもりです。。。
効率フロンティア曲線

図中の緑の点が1%刻みの各リスクにおける最もリターンが高い組合せを計算した結果です。
この点をつないだ線が効率フロンティア曲線となり、この左上にくる資産構成はありません。
緑の線に近いほどリスクに対するリターンが高くて効率的に運用できてるってことです。
例えば、リスク10%で効率曲線上ならリターンが約3.3%です。構成により同じリスク10%でもリターンは半分(1.6%)ほどとになります。
ちなみに、リスク17.5%でリターン1%の右下の点がコモディティ100%です。

私の古いPCで約18万データ、グラフ描画にすごい時間が。ただ、古い人間としてはこれだけのデータをエクセルで扱えることがすごいと思う。

図中の緑の線は点を直線でつないでいます。直線なので、線より上にも点があります。
なお、エクセルのソルバーという機能を使って計算していますが、きちんと計算できていそうです。ソルバーは数学的に解決しているのではなく、いろいろ当てはめて計算しているだけです。11資産も変数があると、きちんと計算できていない可能性があると思って使ってます。

効率投資の資産配分
上の図は効率フロンティア曲線上の点の資産割合です。
この例だと、リスク19%のときよりリスク20%の方がリターンが低いので、新興国株式は効率的には採用されません。しかし、新興国株式のリターンをJPモルガンの6.75%にすると、先進国株式よりも採用されることになります。皆さんの考えしだいです。
コモディティはもちろん、先進国債券も全く採用されていません。設定によって変わるので先進国債券なんて不要!(山崎元さんの言うとおり!?)って短絡的にとらないでください。米株と米債券は相性いいはずですが、円ベースで相関係数を見ると為替の影響が大きくなってしまい数値が高く(同じ値動きする)なってしまいます。実態とは異なりこの計算の欠点と考えています。また、外国債券と為替ヘッジは相性がいいと言われますが、私は長期投資にヘッジは不要と考えています。長くなるのでまた別の機会に。

個人的には、リスク10%リターン約3.3%のときの資産構成がバランスいいかなって思います。国内は株式で、先進国はREITが採用されています。この構成をちょっといじって、先進国REITを減らし先進国株式を増やす、その代わり国内株式を減らして国内REITを増やしてもよいかなと思っています。
思ったより、リートが採用される結果となりました。債券は株と値動きが違うけどリターンが低い。リートはリターンがよくて、株と値動きがそこそこ違うからかな。リートの設定値がかなり怪しいのが難点ですが。

リスクが高くてもいい人は、リスク19%の先進国株100%がいいように見えますが、私が設定で先進国株のリターンを一番良くしたからだけです。リスクを気にしないなら最もリターンが高くなりそうと自分が予想したところに全力投資してください。

8資産分散型ファンドの計算例

複数資産に配分しているファンドで8資産分散型ファンドというのがあります。
日本株、先進国株、新興国株、日本債券、先進国債券、新興国債券、日本REIT、先進国REIT
の8資産に均等に配分するもので、具体的には次のようなのがあります。

・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)、つみたて8資産均等バランス
・iFree 8資産バランス
・たわらノーロード バランス(8資産均等型)
・ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型)

これを上の設定で計算すると、リスク12%でリターン3.5%と、効率フロンティア曲線に近い結果です。
効率フロンティア曲線のリスク12%はREITの比率が高すぎなので、この方がよいかも。あまり考えずにこれ1本で資産運用ってのもアリですね。
8資産均等型のリスクとリターン
図中のオレンジの点が8資産均等型のリスクとリターンです。緑の線に近いです。
組合せは20%刻みの約3000データに減らしています。約18万データはグラフ描画が大変すぎ。

リバランスのメリットもあるので、バランスファンドは手間をかけたくない人にはいいかも。
デメリットは、新興国と先進国を分けるタイプだと新興国の比率が高くなりすぎます。新興国と先進国をあわせて外国としたバランスファンドなら時価総額に応じて先進国の比率が高くなります。なお、6資産型だとリートの比率が高くなり、4資産型だとリートがなく債権比率が高くなります。
国内債券に信託報酬をかけたくない、比率をもっと変えたい、個別に商品を選びたいという人も、バランスファンドのリスク・リターンを参考にしてはどうでしょうか。

新興国を信用していない私なら、新興国の株式と債券を10%ずつ減らし、日本株20%,先進国株22.5%,日本債券15%に増やしますね。リスク・リターンも良くなりました。で、日本債券は個人向け国債かな。

なお、バランスファンドなら気にしなくていいですが、自分で組み合わせるならリバランスが気になります。ただ、エクセルで計算すれば分かりますが、資産配分が数%ずれたからってリスクとリターンはあまり変わりませんそんなに気にしなくてよいと思います。

おわりに

上の表のエクセルファイルはこちらからダウンロードできます。
長期的に私はリターン3%ぐらいを得られればいいのかなって思っています。
投資のリスクを負って3%ぐらいのリターン(20年複利で1.8倍)なら、預金とか国債でいいって考えの人はそれもアリなんだと思います。高度成長期のようなインフレはもうなさそうですし。

新興国は10年以上前からHSBCインドとかBRICsオープン、最近では楽天新興国ファンド(楽天VWO)とか買っては、撤退をしています。タイミングが悪くあまりいい思いをしていないので、新興国に否定的になっています。下がるたびに「○○の影響」とか「××につられて」とか言われて予期せぬ悪材料が多すぎって感じています。自分の理解できないものには投資しないって考えて避けてます。

エクセルファイルの計算式の間違い等ありましたらお教えください。

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